引越しが決まった

引越しをするのは人生で二回目。最初は田舎から東京に出てくる時だった。その頃といったら僕は高校を卒業する直前の未成年だったし適当に決めた都内の大学になんとか受かってその既成事実のおかげで上京する理由を手に入れて、実際のところ実家を離れて一人暮らしがしたいっていう思春期特有の親離れ独立願望に従って将来のことなんて別になにも考えちゃいないまま自立ってものに憧れていた結局は親に甘えてるのも気づかないで自由を気取っていただけの18才だった。

引越しをすると決まった次の日曜にしぶしぶと親と一緒に東京に出かけ、僕が住む為の部屋を探すべく不動産屋をあちこち回って僕がやったことと言えば、歩き疲れたことに対する憤りのやり場を大人げない八つ当たりにかえて担当の人にすこぶる無愛想に振る舞った事と飯休憩の催促といくつか見せてもらった部屋の中から最終的な決定だけで、それ以外の担当への希望や条件の説明や部屋の契約に必要な手続きなどなどは親が全部やってくれたわけだ。

引越しの準備にしたって、部屋を決めて実家へ戻っても僕はもうすぐ別れることになる友達と名残を惜しんで遊び回っている間に、ほとんどモノのない僕の部屋の荷造りも住民票の変更も新しい僕個人の保険証も生活に必要な家具家電の配達も引越し 業者への申し込みもそれに関わるお金の問題もきれいに終わっていたし、というか実際僕の知るところでは無かったし、僕はまるで体一つだけで寝床を実家から東京に移せば良いだけの状態だったといっていい。

引越し 一回目はそんな風に終わって、実感もないまま住むところが変わっただけだった。僕は本当に何もしていない。今思えば甘やかされ過ぎだ。そして僕はいつまで反抗期のつもりだったんだというくらい駄目な子供だった。それでもこうしてあれから5年経って、一年の留年を経たものの無事に卒業も決まり、今度の四月からいっぱしの社会人になる。僕がそこそこ大きな会社のプログラマー見習いだ。月日はこんなにも人を変えるのか。

引越しを一人でやらなくてはいけない。それくらいできなきゃいけない。五年前の事は反省してるんだ。というか今思えば情けなさすぎだ。親も僕をかなり甘やかしていたなと思うしそれでも本当に心から感謝しているが、それにしたって誰か注意してやれよ僕を。過去をいつまでも悔やんでいても仕方ないし、昔よりは僕もまともになった。が、なにしろわからない事が多すぎる。引越し 当日まであと一ヶ月。無事に引越しできるだろうか。