引越しまであと一ヶ月

引越しをするのにどうしたらいいんだ。わからなければプロに聞けば良い。友達の中には業者に頼むとお金がかかるからという理由で自分たちで何もかもやっていた奴もいて、そんな時はこの僕も電話一つでかり出されたものだったし、いや正確にいえば電話の内容の中の「全部終わったら焼き肉奢る」という貧乏学生にとっては魔法の呪文によっていとも簡単に召喚されたわけで、同じく召喚された数人の仲間とレンタルしたワゴンで三往復ほどさせられたりしたものだった。

引越しを自分でやるのは大変すぎるとこの時に実感した。金がかかると言ったって、結局二十代前半の僕らに手伝ってもらってそれが三、四人程だったがそんな少人数であることがさらに僕らのエネルギーを奪い、さらに腰やらを痛めつけることになったがそれは置いといてもくたくたに疲れて腹ぺこな僕らの前に出されたお肉があんなに簡単に次々と消えてなくなるとは思ってなかっただろう奴の財布に大打撃をくらわす。おまけに所詮素人であるし、無骨な男同士の友情の上には勢いはあれども丁寧な作業というのは望めない。

引越しを自分たちでやる事にメリットを見出したはずのそいつが得たものは、結局思った以上のお金をかけた上に成り立った僕らの満腹によるお礼の言葉と再確認できたかけがえの無い友情、それに買ったばかりのテーブルについた前衛的なデザインの、一般的に「傷」と呼ばれる見事な装飾だ。これを芸術と呼ぶには時代がまだ二百年程早かったが。

引越しについての情報収集をすることから始めることにした僕は、プロに頼む事を選択する上でまず見積もりとやらをいろんな引越し 業者に出してもらうことにした。今はインターネットで数件へ一度に見積もり依頼が出せたりする。便利なものだ。見積もりを見てから考えても遅くなかったのに、あいつ。さて、焼き肉とどっちが安いか。おっとその前に、まず見積もってもらう荷物の状況を把握することが先だ。焦るなよ、俺。

引越しをする新しい住居の確認をしなくては。新居はここから車で一時間程。今のところは一階だしエレベーターも無いが今度はある。何せ今度は四階だ。。目の前の道路はトラックも停められるだけの幅はあるし。おおよそ荷物がどのくらいかもきちんと把握。思ってるよりも多めだと考えた方が良さそうだ。五年前はあんなに荷物がなかったのに、本だけでも相当増えてしまった。だいたいのデータを数社へ見積もりを出して、折り返された電話できちんと相談。信頼とサービスで決めた。日にちも予約して、後は荷造りを当日までに終わらせれば良い。